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抵当権つき賃貸物件は普通か?その2

昨日の続きです。
今回のシリーズはちょっと長くなります。
前回「賃貸物件に抵当権が付いてるのは普通だ」と説明しました。
しかし普通とはいえ、抵当権が付いていることには変わりません。
抵当権が実行される可能性はあります。
その時、物件を借りて住んでいる人はどうなるのでしょうか?

抵当権が実行され、競売にかかり、落札されると、その物件の持ち主が変わります。
借りている人にとっては家賃を払う大屋さんが変わるということです。
新しい大屋さんがその物件をそのまま賃貸物件として利用し、今までの住人と賃貸借契約を結ぶのなら問題ありません。
借りている人にとっては家賃の振込先が変わるくらいです。

しかし、新しい大屋さんが「物件を取り壊して自宅を建てたい」ということになったらどうでしょうか?
大屋さんにしてみれば、一刻も早く建てたいので、住人にはすぐにでも出て行ってもらいたいでしょう。
住人にとっては寝耳に水の話で、すぐに出て行けといわれても困ってしまいます。

民法では基本的に、このように権利が競合した場合「早い者勝ち」というのが原則です。
難しく言うと「各権利が対抗要件を具備した先後関係で決まる」となります。」
今回のケースでは「賃借権」と「抵当権」が競合しています。
ということは「賃借権」と「抵当権」のどちらが早く成立したかで勝ち負けが決まります。

賃借権が先なら問題ありません。
契約が終わる日まで住んでいられます。
しかし抵当権が先なら問題です。
原則から言うと「すぐさま出て行け」ということになります。
しかし前回説明したとおり、ほとんどの賃貸物件には抵当権が付いています。
抵当権実行で即時退去しなければならないとなったら、怖くて賃貸物件を借りることは出来なくなります。

そこで「短期賃貸借の保護」制度ができました。
一定の期間内の賃借権であれば、抵当権の後でも保護されるようになったのです。
たとえその賃貸物件が競売されても建物なら3年以内の契約期間であれば、その契約期間内は保護されます。
これにより、住んでいる人は競売後に即時退去することなく、ゆっくりと引越し先を探せるようになりました。

ここまで読んで「ああ、安心だ」と思った人、安心するのは早いのです。
この「短期賃貸借の保護」、平成16年4月1日より廃止されてしまいました。

長くなったので、さらに次回に続きます。






     
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