こんにちは、私の教室にようこそ。
ハーバード非公認教授のダニエル・サンデルです。
尖閣ビデオ問題、最近のマスコミの話題を独占しているね。
しかし「誰が流出させたか」ばかりを話題にして「何故政府は隠したか」「なぜ釈放したか」「中国への対応は」という点がまるで語られていない。
そこら辺は政府やマスコミの意図もあるのだろうけど、一緒に考えると非常に分かりづらくなる。
これはそれぞれ別々に考えるべき話なのだ。
まずは「情報流出の是非」を考えてみよう。
今回は機密を(本来は機密じゃないという考えはひとまず置いておいて)どこかの誰かが流出させた。
なかなか評判は良いようだが、これは正しい行為なのだろうか?
「流出させた」という行為を見ると、やったのが公務員なら、これは法的には公務員法違反だ。
守秘義務を破ったわけだから、明確に法律に違反していることは疑いようがない。
公務員でない場合でも何らかの違法行為を犯しているものと考えられる。
法に反した人間を処罰するのは法治国家として当然の行為だ。
「犯人探しをするべきではない」というのでは人治国家になってしまう。
この点から見ると、流出させた本人を「正義の味方」と言って英雄視するなんてことは言語道断だ。
もちろん、政府の危機管理能力も批判されねばなるまい。
以前に法に反した人間をあっさり釈放したことについては・・・話は後だ。
しかし、「流出させたもの」に注目すると、また別の解釈が成り立つ。
国民の大多数はこの映像を公開するべきだと思っていただろう。
政府がこの映像を隠すことにより、国民の知る権利や国益を害しているとするならば、またこの映像を見ることにより国民が正しい認識を持てるのならば、映像を公開するのは正しい行為といえるのではないだろうか?
特に公務員は上司や組織が不正しているのを発見した場合は告発する義務があるのだ。
今回は匿名でのネット流出という手段であるが、根本的な部分を考えれば正しい行為と言える。
過去の歴史を見ても「法的には違法だが人間としては正しい行為」というのはいくらでもあるのだ。
この点から見ると、流出させた本人を「正義の味方」と言って英雄視することに異論はないということになる。
また、現与党が「取調べの可視化」「開かれた政府」「内部告発の奨励」「密約を暴く」「民意」というキーワードを用いていたことは興味深い。
とはいえ、そんな国家レベルの情報流出の是非を一個人が判断していいのか?という話もあるだろう。
今回は「法的にはアウトだが心情的にはセーフ」というケースだから、一般市民の反応も良いものになっている。
しかし、例えばこれが「国家機密を敵性国家に流す」というスパイ行為、「法的にはアウトだが心情的にはもっとアウト」というケースではどうだろうか。
さすがにそれを支持する国民はいないだろうが、しかし流出させた本人が「これは正義的行為だ」と信じていた場合は?
また、本人の意図がどうかによって評価は変わるだろう。
本人が「義憤にかられての内部告発」であった場合であれば正義に反しないだろうが、「混乱させるため」「愉快犯」「政治的揺さぶり」などのだった場合は大義名分が立たなくなる。
正義を語るなら、その点も考えなければならないだろう。
法と正義、どちらを取るかのバランスは難しい。
例えば自衛隊は日本国民を守るために存在し、その最高司令官は内閣総理大臣だ。
ある時、大規模な反政府デモが発生したとしよう。
そして自衛隊にはデモ鎮圧のために市民に銃を向けることを命令されたとする。
中国の天安門事件を想像すればわかりやすいだろう。
自衛隊の存在意義は国民を守ることだが、法的には命令に従わなければならない。
法と正義が対立したその時、自衛隊員はどうすればいいだろうか?
これは単純に白黒つけられることではない。
その場面場面で思考も結論も評価も違ってくるだろう。
各自、じっくり考えてみて欲しい。
今日の講義はここまでにしよう。
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尖閣ビデオ問題、最近のマスコミの話題を独占しているね。
しかし「誰が流出させたか」ばかりを話題にして「何故政府は隠したか」「なぜ釈放したか」「中国への対応は」という点がまるで語られていない。
そこら辺は政府やマスコミの意図もあるのだろうけど、一緒に考えると非常に分かりづらくなる。
これはそれぞれ別々に考えるべき話なのだ。
まずは「情報流出の是非」を考えてみよう。
今回は機密を(本来は機密じゃないという考えはひとまず置いておいて)どこかの誰かが流出させた。
なかなか評判は良いようだが、これは正しい行為なのだろうか?
「流出させた」という行為を見ると、やったのが公務員なら、これは法的には公務員法違反だ。
守秘義務を破ったわけだから、明確に法律に違反していることは疑いようがない。
公務員でない場合でも何らかの違法行為を犯しているものと考えられる。
法に反した人間を処罰するのは法治国家として当然の行為だ。
「犯人探しをするべきではない」というのでは人治国家になってしまう。
この点から見ると、流出させた本人を「正義の味方」と言って英雄視するなんてことは言語道断だ。
もちろん、政府の危機管理能力も批判されねばなるまい。
以前に法に反した人間をあっさり釈放したことについては・・・話は後だ。
しかし、「流出させたもの」に注目すると、また別の解釈が成り立つ。
国民の大多数はこの映像を公開するべきだと思っていただろう。
政府がこの映像を隠すことにより、国民の知る権利や国益を害しているとするならば、またこの映像を見ることにより国民が正しい認識を持てるのならば、映像を公開するのは正しい行為といえるのではないだろうか?
特に公務員は上司や組織が不正しているのを発見した場合は告発する義務があるのだ。
今回は匿名でのネット流出という手段であるが、根本的な部分を考えれば正しい行為と言える。
過去の歴史を見ても「法的には違法だが人間としては正しい行為」というのはいくらでもあるのだ。
この点から見ると、流出させた本人を「正義の味方」と言って英雄視することに異論はないということになる。
また、現与党が「取調べの可視化」「開かれた政府」「内部告発の奨励」「密約を暴く」「民意」というキーワードを用いていたことは興味深い。
とはいえ、そんな国家レベルの情報流出の是非を一個人が判断していいのか?という話もあるだろう。
今回は「法的にはアウトだが心情的にはセーフ」というケースだから、一般市民の反応も良いものになっている。
しかし、例えばこれが「国家機密を敵性国家に流す」というスパイ行為、「法的にはアウトだが心情的にはもっとアウト」というケースではどうだろうか。
さすがにそれを支持する国民はいないだろうが、しかし流出させた本人が「これは正義的行為だ」と信じていた場合は?
また、本人の意図がどうかによって評価は変わるだろう。
本人が「義憤にかられての内部告発」であった場合であれば正義に反しないだろうが、「混乱させるため」「愉快犯」「政治的揺さぶり」などのだった場合は大義名分が立たなくなる。
正義を語るなら、その点も考えなければならないだろう。
法と正義、どちらを取るかのバランスは難しい。
例えば自衛隊は日本国民を守るために存在し、その最高司令官は内閣総理大臣だ。
ある時、大規模な反政府デモが発生したとしよう。
そして自衛隊にはデモ鎮圧のために市民に銃を向けることを命令されたとする。
中国の天安門事件を想像すればわかりやすいだろう。
自衛隊の存在意義は国民を守ることだが、法的には命令に従わなければならない。
法と正義が対立したその時、自衛隊員はどうすればいいだろうか?
これは単純に白黒つけられることではない。
その場面場面で思考も結論も評価も違ってくるだろう。
各自、じっくり考えてみて欲しい。
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