閉店しました
ある日の夜、俺は落ち込んでいた。
時の流れの残酷さに身も心も打ちひしがれていた。
夜の街を彷徨い歩く失意の俺が一人で無意識にふらふらとやって来たのは「るーぱんカフェ深谷上柴店」だった。
メニューを見る気すら無い俺が注文したのはいつもの「ガーリックサラミピザ」だった。
どうやら俺の身体にはコイツが染み付いているらしい。
トマトソースにガーリック、それにサラミとチーズだけのシンプルなピザだ。
昔と変わらない強烈なガーリックの味が弱り切った俺の魂をダイレクトに揺さぶる。
今どきのお上品なピッツアにはないストレートなワイルドさに痺れる。
これを初めて食べたのは10代の頃だったっけ。
あの時は「こんなにうまいものがこの世にあるのか!」と感動したっけな。
もう一つ注文したのは「ミートスパゲティグラタン」だ。
これを初めて食べた時も「どうしてこんなに美味いんだ!」と感動したっけな。
これでもかってほどホワイトソースが満ちている。
近年稀に見る量だ。
それにミートソースを絡めて貪り喰う。
ミートソースとホワイトソース、それぞれが充分に主役を張れる役者だが、その2人が力を合わせればこんなに素晴らしい仕事になるのか。
その相性とボリューム、満足度はカツカレーに匹敵する。
食べながらしみじみ思う。
こいつらは昔と全然変わらないじゃないか。
俺は歳を取り、経験を重ね、家族や仲間は増えた。
けど、まだ何も成し遂げてはいないし、何も失ってはいない。
焦ることはない、慌てることもない。
そうだ、初めてこれらを食べたあの日と同じ気持で行けばいい。
毎日が新しい日なんだ。
ありがとう、るーぱん。
よくわかったよ。
時計は常に動き続けるものだ。
変わらないものとは、変わらないために歩き続けてるってことだ。
ああ、俺はまた歩き出せるよ。
食事を終え、外に出て夜空を見上げる。
そこには満天の星々が俺を祝福するように照らしていた。
いや、20年位ずっと履いていたジーンズに穴が開いちゃってさ、いよいよ捨てるしか無くなっちゃっただけなんですけどね!
でもるーぱんが傷心を癒してくれたのはホントです(笑)
コメント
>いよいよ捨てるしか無くなっちゃっただけなんですけどね
パッチだ!裏からパッチをあてるんだ!とも布で!
自力が面倒なら↓で。
http://goemongoegoe.com/goegoehomepage_new/ripeagoemontoppage.html
昔住んでいた近所にある店で、Lightningという雑誌に載っていました。
行きずりさま
実は何箇所もパッチを当てていたのですが、このたびは豪快に裂けまして・・・
さすがに修理不能と思い、泣く泣くお別れとなりました。