賃貸のシーズン真っ只中の現在、いろいろな人がいろいろな理由で色々な物件を探しに来ます。お客さんが来ると最初に大体の希望を聞くわけですが、皆さん言うことは同じです。「駅に近いこと」「生活が便利」「うるさくない」「2階以上」などなど。そして同じくらい多いのが「新築または築浅の物件」です。
やっぱり新築は人気ありますね。同じような部屋で同じような立地条件だったら、誰でも新築を選びます。何と言っても部屋も設備も最新かつ新品!だからといって家賃が相場よりずっと高いというわけではない場合が多く、礼金を多少多めに払っても新築に済むというメリットは大きいでしょう。
基本的に新築は人気があるのは分かりますが、なかには「こんなところで借り手がいるの?」と思ってしまうような場所に新築の物件が建つことがあります。それでも新築の時は借り手で埋まります。これが不思議で不思議でたまりませんでした。
そういう場所に建てる場合はアパート業者が建設・募集・管理など全部まとめてやっている場合がほとんどです。土地を持っている人に「アパート建てませんか?」と言って建ててもらい、そこを管理するわけです。「一括借り上げ」「家賃保障」などで、オーナーさんに心配をかけないようにやるのが流行です。
建築するのはもちろんアパート業者です。建築と募集と管理で一粒で3度美味しいわけです。となると、業者としてはどんどん新しいアパートを建てたいものです。
しかし、いい場所にはすでに他のアパートが建っています。ですから上記のような妙な場所に建てざるをえません。しかし、普通にやっていては借り手はいない。借り手がいないとなれば、アパートを建ててくれる人はいなくなり、業者は困ります。新築時にすぐに満室にしないと信用がなくなってしまいますので、なんとかしなければいけません。ではどうするのか?
そういう業者は他のアパートもたくさん管理しています。その住人達に「新築アパートがありますよ。引っ越しませんか?」と誘うのです。新築の物件の条件が悪ければ「家賃を3ヶ月サービスします」「引越し代出します」などと言ってその気にさせます。その話しにのる住民には特にデメリットは無いので、結構うまくいくようです。自分の管理している物件から、新しい物件に「引き抜き」をするのです。オーナーにしてみれば「サクラ」ですね。
問題は引き抜かれたほうのオーナーです。他社ならともかく、自社に引き抜かれていたらたまったものではありません。引き抜いたほうも、次の新築が他に出来たら引き抜かれるかもしれません。通常、オーナー同士では連携はありませんから、引き抜きがあること自体、わからないでしょう。
もちろん、すべての業者がそういうことをやっているわけではなく、あくまでも一部の業者だとは思います。人口が増えているわけでもありませんので、基本的に賃貸物件は余り気味です。アパートをどんどん建てるビジネスモデルは近いうちに破綻するかもしれませんね。
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